川根本町を含む南アルプス地域が、豊かな自然環境とその自然を守り共生してきた地域の歴史・文化が世界に認められ「ユネスコエコパーク」に正式に登録されました。ユネスコという国際機関によって、ユネスコエコパークに登録されたことで南アルプス地域の国際的な評価が上がり、地域の活性化が期待されています。
南アルプスは赤石山脈と呼ばれ、山梨、長野、静岡の3県にまたがり、東西約15㎞、南北50㎞に及ぶ日本を代表する山岳地帯です。
山脈の主要部分は南アルプス国立公園に指定されており、富士山に次ぐ第2位の高峰・北岳をはじめ、日本国内の3000m級峰21座のうち9座を有し、日本百名山も10座ある国内屈指の山脈です。
生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的として、ユネスコが開始しました。ユネスコの自然科学セクターで実施されるユネスコ人間と生物圏(MAB:Man and the Bioshere)計画における一事業として実施されています。地域の豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然に学ぶと共に、文化的にも経済・社会的にも持続可能な発展を目指す取り組みです。
ユネスコエコパークは国内で親しみをもってもらうためにつけられた通称で、海外では「BR:BiosphereReserves(生物圏保存地域)」と呼ばれています。世界のユネスコエコパークの登録総数は、117か国621地域、日本では2014年6月に正式登録承認された福島県只見地域、南アルプスユネスコエコパークを加え7地域が登録されています(2014年6月現在)。
ユネスコエコパークには3つの機能があります。個々の機能は独立のものではなく、ユネスコエコパークを相互に強化する関係です。この3つの機能を果たすために3つの地域を設定しています。
ユネスコエコパークは役割の異なった3つの地域で構成されています。
多くの動植物が生息している自然豊かな地域。各国の法律により厳しく保護され、長期的に保全されることが必要な地域です。
核心地域の周囲または隣接する地域で、核心地域を守る機能を果たします。実験的研究、教育や研修、森林セラピー、エコツーリズムなど、自然の保全・持続可能な利活用への理解の増進、将来の担い手の育成等が行われています。
人々が居住し生活を営んでおり、自然環境の保全と調和した持続可能な地域社会の発展のためのモデルとなる取組が行われています。
従来、南アルプスの山々によって交流が阻まれてきた3県10市町村にわたる地域が、「高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性」という理念のもと、南アルプスユネスコエコパークとして結束。南アルプスの自然環境と文化を共有の財産と位置づけるとともに、優れた自然環境の永続的な保全と持続可能な利活用に共同で取り組むことを通じて、地域間交流を拡大し、自然の恩恵を活かした魅力ある地域づくりを図ることを目指しています。
川根本町が掲げる「水と森の番人が創る癒しの里」の姿は、ユネスコエコパークの理念である「自然と人間社会の共生」と一致しています。町では自然と文化を守りながら、地域の産業や観光などの発展を目指す取り組みを進めていきます。
光岳(てかりだけ)をはじめとする国立公園の特別保護地区など、自然環境を守らなければならない一番大切な地域。
核心地域の周囲または隣接する地域。適切な保護、管理をしながら環境教育、環境学習などにも利用される地域。
地域資源を活かした持続的な観光であるエコツーリズムが行われている地域、地域の産業である茶業、林業などの社会活動がなされている地域。
核心地域、緩衝地域を除く町内全域(登録面積の約94%)が移行地域にあたるため、ここでの活動がとても重要となってきます。